第4話　

　私が目を覚ました時、菅野健一はベッドのそばに座っていた。

　目の下には濃いクマができ、顎にはひげが生えていた。

　そのだらしない姿は、彼とは思えないほどだった。

　私が目を覚ましたのを見て、彼の顔には喜びが浮かんだ。

　「美緒、やっと目が覚めた。三日三晩も意識がなかったんだ......」

　「本当に心配したんだよ！」

　彼を見た瞬間、全ての苦しみが一気に押し寄せてきて、私の心は爆発しそうだった。

　「パシッ！」

　私は歯を食いしばり、菅野健一の顔に思い切り平手打ちをした。

　「よくも私の前に顔を出せたものだわ」

　彼の目には苦悩の色が混じっていた。

　「ごめん、父さんが本当に事故に遭ったなんて知らなかったんだ。最後に会いに行かなかったのは俺が悪い」

　高山奈々は険しい表情で駆け寄り、私の前に立った。

　「ごめんね、美緒。私のせいにしてくれていいから。あの日は私の誕生日で、健一が約束してくれたの。だから彼に頼み込んでしまったの。お願いだから彼を責めないで、このことで離婚なんて考えないで」

　彼女は一瞬目を瞬かせただけで、涙が止めどなく流れ出した。

　口からは何度も謝罪の言葉が繰り返され、「ごめんなさい。叔父様が本当に事故に遭ったなんて知らなかったの。彼を呪ったりして、本当にごめんなさい。」

　私は彼女をじっと見つめた。

　「謝罪なら、ここで父に向かって謝罪しなさい」

　菅野健一は固まってしまった。

　高山奈々はすぐに地面に跪いたが、まだ礼を始める前に菅野健一が彼女を引き上げた。

　「立ちなさい。君は元々体が弱いんだ。こんなことは君には関係ない。先に帰りなさい」

　高山奈々のあざとさは一目でわかるが、菅野健一はそれを信じている。

　本当に最低な男女だ。まさに似合う！

　彼が彼女を守りながら去るのを見つめても、私の心にはもう何の感情も湧いてこなかった。

　退院した翌日。

　細井涼太が一緒に花や果物を買い、車で山に登り、墓石の前に長い時間座って父に色々と話した。

　会社のこと。

　細井涼太のこと。

　そして、菅野健一のこと。

　彼は今日が何の日か忘れているようだった。

　彼が覚えているのは、高山奈々の体調が不安定で、病院で再検査を受けなければならないことだけ。

　「父さん、今日も菅野健一は来なかったよ。これから